理想と現実のギャップを埋める方法――なぜその乖離に苦しむのか

理想と現実のギャップに苦しむ女性

引き寄せの法則で「なりたい自分」になるために理想の自分を想像する。しかし目指すべき理想像が明確になったはいいものの、理想と現実のギャップに苦しむようになってしまった……。
これは目標をもって努力している人がかならずおちいる悩みです。

こんなとき、どうしたら理想と現実の違いに苦しむことがなくなるのでしょうか?
高い目標を設定したまま理想と現実のギャップを埋めていくことはできるのでしょうか?
この点について考えていきましょう。

理想と現実のギャップに苦しむ原因は想像上の自分を“他人”と認識してしまっているから

理想と現実のギャップに苦しむ原因。それは想像した「理想の自分」を“他人”として認識してしまっていることです。
苦しみは「比較」によって生まれます。他人と自分を比較することがすべての苦しみの根因です。
しかし本来、人が“自分と自分”の比較に苦しむことはありません。
想像上の自分と現在の自分を比較してつらくなるということは、もう一人の自分を他人のように感じて“この自分”と比較してしまっているのです。

自分と自分の比較のつもりが、いつのまにか自分と他人の比較になってしまっている……このことに気づくことが、理想と現実のギャップに苦しむことから抜け出すキーポイントになります。
ではなぜ、想像上の理想の自分は心のなかで「他人」になってしまうのでしょうか?

理想の自分がいつのまにか他人になっている理由

理想の自分を想像していたはずが、想像上の自分がいつのまにか他人になってしまっている……なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
その理由は、理想の自分のイメージをつくるとき「脚色された他人」を参考にしてしまうからです。
脚色された他人とはたとえば、

・加工された写真
・いい部分だけ切り取られた動画
・嘘が混じっている報告
・尾ひれはひれのついた噂
・ドラマなどでの演技
・プロによるメイクアップやライティングによる演出

などを通じて私たちの心に入ってくる他人のイメージのことです。
ほぼ無意識でSNSやテレビなどのメディアから取り込んだ他人のイメージをもとに自分の理想像をつくってしまい、知らずしらずのうちに想像した理想の自分が“自分の顔をした他人”になってしまっているわけです。
そして自分と他人(の皮をかぶった自分の理想像)との比較が心のなかで生まれ、苦しむようになる。
さらに、こうした自他の比較こそが理想と現実のギャップを埋められない理由にもなっているのです。

「理想の自分(他人)への嫉妬」がなくなればギャップは埋まる

心のなかに居座るようになってしまった「理想の自分(他人)」の存在。これが理想と現実のギャップへの苦しみを生み、理想の実現を阻む原因です。
問題の本質は理想の自分(他人)に嫉妬してしまうことです。
他人のイメージがまとわりついた自分像は、自分のはずなのに嫉妬の感情がわいてしまう。比較と嫉妬の感情は理想の自己像が他人化してしまっている証拠です。たいていの場合、この自分(他人)への嫉妬の感情は「あこがれ」だと誤解されています。

理想の自分に嫉妬してしまうと、理想の自分になれません。
なぜなら嫉妬している対象は受け入れられないから。
人間の心理は、よほど精神的な訓練を積んだ人でなければ嫉妬の対象を受けつけないようにできています。無意識に遠ざけてしまうのです。
自分の理想像に嫉妬すれば、理想の自分を拒絶することになります。
潜在意識レベルで理想の自分を拒絶していれば、その理想像を引き寄せることはできません。

逆に、理想の自分を本物の自分として受け入れることができればそれは実現します。
人はあこがれの誰かになるのではなく、「これが自分だ」と感じている自分になるのです。

理想の自分を、他人ではなく自分として受け入れる。そのためには現在(現実)の自分を受け入れる必要があります。

現実と理想の両方を「自分」として受け入れる

理想を追いかける人がおかしがちな過ちは、現実のほうの自分を否定してしまうことです。
現実の自分を嫌い、蔑み、拒絶する。そうすると、その分だけ理想の自分像は脚色された他人のイメージを取り込んで“他人化”していってしまうのです。
自分から逃げようとすればするほどそれは追ってくるし、理想は追いかければ追いかけるほど逃げていくということになります。
逆に、現状を肯定をするために理想を否定するのも間違い。それでは「酸っぱいブドウ(イソップ物語。本当は食べたかったのに食べられなかったブドウを「酸っぱいに違いない」と決めつけたキツネの話)」で、理想=他人に対する嫉妬を克服できていない状態です。

現実と理想、両方の自分を対等に「現実」として受け入れる考え方に変えていきましょう。
脚色された他人に影響されていない自己イメージを思い描けているなら、どちらの自分も同時に存在しているのです。理想の世界も現実としてすでに存在しているものだと思うようにしてみましょう。
複数の自分が同時に、対等に、現実に存在している。
この考え方が心になじんでくると、現実の自分を拒絶することも理想の自分に嫉妬することもなくなってきます。
複数の自分、複数の現実を対等に受け入れられるようになれば、現実と理想は次第に接近してきます。
「理想対現実(他人対自分)」になっていた認識が「両方が自分」の認識に変わり、イメージすることによって生じていた複数の運命が統合されていくのです。そのとき引き寄せ現象が起きます。

少々普通とは異なる世界の認識法となりますので、慣れないうちはとまどうかもしれません。
まずは「(現実と理想の)両方の私が対等に存在している」と声に出して言うことで、この概念を潜在意識になじませていきましょう。
潜在意識から世界の認識法が変わって、複数の現実、複数の自分の存在を自然に受け入れているあなた自身に気づいたとき、すでにあなたは理想の自分を引き寄せているはずです。

-引き寄せの法則をより深く理解するために
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