「自分と向き合う」とは――「自分さがし」との違い

花の前に置かれた鏡

自己実現のための欠かせない、自分自身と向き合う時間。
多様化が進み、先行き不安な現代ではこれまで以上に自分と向き合うことの重要性が増しています。

でも、「自分と向き合う」とはそもそもどういうことなのでしょうか?
自分と向き合うという言葉の意味がはっきりしないことには、何をしたらいいのかわかりません。

そこで、あらためて自分と向き合うことについて考えてみましょう。
「自分さがし」との違いがわかると、自分と向き合うことの意味がつかめてきます。

自分と向き合うことと自分さがしの違い

自分と向き合うことと自分さがしは似ているようで違います。
その違いとは、

・自分さがし……他人にどう見られたいかを追求すること
・自分と向き合う……他人の目を意識せずに自分を直視できるようになること

です。

他人が用意した個性に自分をあてはめようとするのが自分さがし
肩書きや「○○系」といった既存のカテゴリーに自分を分類しようとする。みずから型にはまろうとする。その型をどれにしようか悩んでいるのが、自分さがしの心理です。

たとえば、見栄のためにブランドで着飾る。あるブランドの機能性や哲学を好きになったのではなく、「他人からこう見られたい」という欲求だけで身に着けるものを選ぶ。他人からどう思われるかだけを考えてすることを選ぶ。他人の価値観に合わせて仕事を決める。「○○さんって、~っぽいよね」と言われたくて「~っぽい」ものを追い求める。それが自分さがし

それとは反対に、他人が用意したイメージ(型)から自分を取り戻す精神的な作業が、自分と向き合うことです

自分と向き合うのは、鏡の前で服を脱いでいくこと。
自分の裸を直視する勇気を持つこと。
裸の自分が見えていれば、自分に似合う服がわかります。裸になって温度を肌で感じれば、今何を着るべきか、何を着なくてもいいのかがわかる。
鏡の前での脱衣を心理的におこなうのが自分と向き合うということです。

自分の長所を見つけることではなく、短所を否定することでもなく、直視する。
直視すると地に足が着く。
地に足がつくと、自分の足元にしかれている道と、他人が用意した道の違いに気づく。
自分の足で、自分の道を行けるようになるのです。

自分と向き合えば「自分みがき」の効果も上がる

自己実現のためには「自分みがき」も有効ですが、これも自分と向き合った上でするからこそ効果が上がります。

自分さがしから始めた自分みがきは“足し算”になりがちです。
自分を大きく見せようとしてデコレーション(装飾)が増えていきます。
他人にどう見られるかという心配が出発点だと、どうしてもステータスに感じられるような物事で自分を塗り固めてしまうのです。

一方、自分と向き合ったのちに自分みがきをすると自然と“引き算”になります。
自分にとって本当に必要なもの、本当は不要だったものがはっきりするので、やることが絞り込まれて、自分みがきが進むほどにすっきりしてきます。

「やるべきこと」がどんどん増えていくのが自分さがしをしている人。
「やらないこと」をどんどん決めていくのが自分と向き合っている人です。

足し算の自分みがきは、すればするほど自分を見失うことになります。
引き算の自分みがきは、すればするほど自分が何者かがはっきりしてきます。

自分が何者かがはっきりすれば、おのずから自己実現は叶います。

自分と向き合う具体的な方法

自分と向き合うのは心のなかの鏡に映る自身を直視すること。
そのためには具体的に何をしたらいいのでしょうか?
自分と向き合うには次の4つの方法が効果的です。

1.書く

ペンを持ってノートに向かう習慣を持ちましょう。書くことはまさに自分と対峙する作業です。
思うこと、考えていること、悩み、心配事、夢、計画、とにかく何でも書いていきます。
頭のなかだけで考えていることは、実は自分自身でもはっきりと理解できていないことが多いのです。書き出して初めて自分自身の考えが理解できる。人間の脳にはそんな性質があります。
書くことで自分自身が何を感じ、何を考えているのかが自覚できて、「これが自分なのだ」という姿が見えてきます。

あとからそのときどきに自分が何を考えていたのかを見直せるのも書くことの利点です。
過去に書いたものを眺めるとより客観的に自分と向き合うことができます。

2.脱・SNS依存

積極的にSNSをやっているとどうしても他人に見せるための自分をつくるようになります。
習慣的にタイムラインを眺めていれば、他人に見せるための自分をつくっている人たちの影響を受けることになります。
SNS依存をやめられると、必然的に自分と向き合う時間が増えます。
一定期間だけでもSNSから離れる時間をつくれるといいですね。

3.食事(栄養)の見直し

食事が乱れると脳の働きも乱れます。
ビタミン・ミネラルの不足、血糖値の乱高下、添加物の大量摂取によって精神が不安定になります。
そうなるととても自分と向き合えるような状態ではなくなります。
食事(栄養)が整うとそれだけで“きもの”が落ちたかのように自分を取り戻せるというケースも少なくありません。
生活習慣を見直すところから始めるのが、自分と向き合うコツです。

4.自然のなかで過ごす

自然のなかで過ごすと、深く自分と向き合えます。
山、海、川、森などで、できれば一人で行ってみましょう(安全には十分気をつけて)。
一人で自然のなかで過ごすと、他人の目を過度に意識することがなくなります。ある種の本能が目覚めて、人間にとってより大事なことに意識が向くようになるのでしょう。

今後、世界ではメタバース(仮想空間)が発展して個性や人格までバーチャル化、多様化します。その結果、どれが本当の自分なのか見失う人がますます増えてくるでしょう。
その前に自分と向き合うことができれば、地に足をつけて自分の道を見失わずに進むことができます。
「自由に」と声高に叫びながらがんじがらめになっていく世界のなかで、確固たる自己を持つ人だけが毅然として「自由」でいられます。
今のうちに徹底的に自分と向き合って、「自由な世界」につながるほうの道を選びましょう。

-引き寄せの法則をより深く理解するために
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